特殊ナット・カラー製造.comでは、各種ナット・カラー・スペーサーといった特注のファスナーパーツ(締結部品)の製造を手掛けています。当社の特長としては、メーカー規格にない特注品・特殊形状品を取り扱っている点にあります。こちらでは、当社がこれまでに手掛けた特殊なファスナーパーツに関する商品・技術情報を提供しています。ぜひともご覧ください。
銅・真鍮の冷間鍛造
電気自動車やハイブリッド車の今後の普及に伴い、その主要構成部品である電装部品には、かつてない高容量化と高信頼性が求められています。特に、バッテリーやモーターからの大電流を制御する高容量遮断リレー、インバーター、パワーコントロールユニットといった中核システムにおいて、導電性、放熱性、および強度に優れた部品は不可欠です。そこで注目されるのが、優れた特性を持つ銅を高い精度と効率で成形できる冷間鍛造技術です。本コラムでは、主にナット関連部品の製造で培われた当社の冷間鍛造技術を応用し、EV・HEV向け電装部品の設計・開発における銅冷間鍛造の可能性とそれに伴う技術的な課題、そしてその解決策について、設計・開発者の皆様へ専門的な視点から解説します。
銅切削加工と比較として、銅冷間鍛造が良い理由とは?
銅冷間鍛造が、EV/HEV向け部品(端子、ヒートシンク・ダブリード、プランジャーなど)の量産において優位となる点は、主に以下の3点です。
①ファイバー組織の強度化
冷間鍛造は、金属を塑性変形させる過程で結晶組織を緻密化し、ファイバー組織が切られること無く成形することで、材料の強度を向上させます。
②ニアネットシェイプ成形による歩留まり向上
切削加工では、材料の大部分が切り屑として排出されますが、冷間鍛造は最終製品形状に近い形(ニアネットシェイプ)で成形するため、材料歩留まりが飛躍的に向上します。材料費の相場変動リスクが高い銅において、この歩留まり向上はコスト競争力を直接的に高める要因となります。
③高い寸法精度
ダイスとパンチを用いた成形により、特に締結部や嵌合部に求められる高い寸法精度を安定して実現できます。また、鍛造された表面は、切削痕のない滑らかな状態となり、熱抵抗や接触抵抗の低減に寄与します。
酸化・外観・脆性・軟性へどう対応すべきですか
銅冷間鍛造を実用化する上で、設計・開発者が特に留意すべき技術的な課題とそれに対する当社の取り組みを紹介します。
①酸化による外観不良(黒変)の克服
銅は酸素と非常に反応しやすく、特に加工中の摩擦熱やその後の熱処理などで容易に表面が酸化し、黒色または濃い茶色に変色します。電装部品では、酸化膜が接触抵抗の増大を引き起こすため、外観の美しさだけでなく、電気的特性の維持という点からも、酸化防止が極めて重要です。当社では、この酸化問題に対し、最終工程として、必要に応じてニッケルめっきなどの表面処理を施し、酸化防止と耐腐食性、およびはんだ付け性向上を図ります。
②銅材料特有の加工難しさへの対応
純銅や一部の銅合金は、柔らかく粘着性が高いため、ダイスやパンチへの焼き付きが発生しやすいという問題があります。逆に、高強度銅合金は、冷間加工硬化が著しく、割れのリスクが高まります。当社では、金型設計から金型製作までを内製化しておりますので、これらの問題が発生しにくい材質を採用し抑制します。また、1回の加工で大きな塑性変形を与えすぎると割れのリスクが高まるため、複数回に分けて、徐々に最終形状へと近づけるようにします。
銅で起こる材料費変動問題とは?
設計・開発者の皆様が直面する大きな課題の一つが「材料費の変動により、量産ロットを計画通りに確保できない」という問題です。これは、特定のEV/HEV部品における急な需要増や少量多品種生産のニーズにおいては、非常に問題です。当社では主力であるナット関連部品の製造で培った高精度・高効率な金型設計ノウハウを活かしつつ、高精度な鍛造設備を組み合わせることで、従来の大量生産型冷間鍛造メーカーでは敬遠されがちな中・小ロット、あるいは試作開発段階の部品にも柔軟に対応できる体制を構築しています。
また、前述の通り、冷間鍛造の最大のメリットは材料歩留まりの高さです。切削加工に比べて大幅に少ない材料で部品を製造できるため、材料費が高騰した場合でも、製品あたりの材料コスト上昇率を相対的に低く抑えることが可能です。
当社が対応できる製品はなんですか?

当社は特に、下記の3つの製品製作を得意としております。
①高容量遮断リレー用端子
冷間鍛造による緻密な結晶組織とファイバー組織により、挿抜・締結時の強度を両立します。また、ニアネットシェイプ成形により、複雑な端子形状の材料歩留まりを最大化します。
②ヒートシンク・ダブリード
鍛造による高密度な組織が熱伝導率を向上させます。また、切削では時間とコストがかかる微細なフィン構造や異形断面を一度に成形することで、生産性を大幅に向上させ、軽量化に貢献します。
③プランジャー(ソレノイド部品)
銅合金の冷間鍛造により、高精度の外形・内径を実現し、摺動抵抗を低減します。表面の平滑性が高いため、追加の研磨工程を削減できる可能性があります。
