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商品・技術情報[ ステンレスの冷間鍛造の難しさ ]

特殊ナット・カラー製造.comでは、各種ナット・カラー・スペーサーといった特注のファスナーパーツ(締結部品)の製造を手掛けています。当社の特長としては、メーカー規格にない特注品・特殊形状品を取り扱っている点にあります。こちらでは、当社がこれまでに手掛けた特殊なファスナーパーツに関する商品・技術情報を提供しています。ぜひともご覧ください。

ステンレスの冷間鍛造の難しさ

冷間鍛造と聞くと、多くの設計者の皆様は鉄(炭素鋼)を素材とした締結部品を思い浮かべるのではないでしょうか。確かに、冷間鍛造はその生産性とコスト効率から、鉄を素材とした部品製造の基幹技術として発展してきました。しかし、製品が使用される環境はますます過酷になり、「塩害や薬品に耐える高い耐食性」「軽量化と両立する高強度」「高温下での性能維持」といった、鉄だけでは応えきれない高度な要求が増え続けているのも事実です。

冷間鍛造

ステンレス冷間鍛造の課題

ステンレスの冷間鍛造は、鉄のそれとは比較にならないほど難易度が高いです。その最大の理由は、ステンレスが持つ「加工硬化」という現象にあります。ステンレスの優れた耐食性の源であるクロムやニッケルは、外部から力を加えられるほどに、その金属組織が硬く変化する性質を持っています。当社の多段フォーマーのような機械では、1段階目の圧造で硬化した材料を、さらに2段階、3段階と連続して叩いていくため、工程が進むごとに材料は指数関数的に硬くなっていきます。その結果、金型にかかる負荷は鉄の数倍にも達し、金型の摩耗や破損が著しく早まるのです。特に、船外機部品のように海水に直接触れる用途で求められる高耐食性グレードのステンレスは、CrやNiの含有率が高いため、この加工硬化の傾向がさらに顕著になり、鍛造の難易度は極限まで高まります。

全切削を凌駕する鍛造ならではの絶対的価値

これほどの困難にもかかわらず、なぜ私たちはステンレスの冷間鍛造にこだわるのか。それは、丸棒から全てを削り出す全切削加工では決して得られない、3つの大きなメリットをお客様に提供できるからです。

①圧倒的な「強度」の向上
冷間鍛造で圧造された部品の内部には、「ファイバーフロー」と呼ばれる、材料の金属組織の連続的な流れが形成されます。この流れが部品の輪郭に沿って途切れることなく緻密に構成されるため、外部からの応力に対して非常に強い抵抗力を発揮します。一方、全切削では、この金属組織の流れを刃物で断ち切ってしまうため、鍛造品ほどの粘り強さや疲労強度は得られません。つまり、「鍛造+二次切削」品は、同形状の「全切削」品よりも、遥かに高い強度と耐久性を誇るのです。

②部品全体に及ぶ「完全な耐食性」
鉄にめっきを施す手法は、コストを抑える有効な手段ですが、表面のめっき層が傷ついたり、剥がれたりすれば、そこから母材である鉄の錆が進行してしまいます。その点、ステンレスは素材そのものが耐食性を持つため、万が一傷がついても、そこから錆が広がることはありません。部品の信頼性が格段に向上します。

③量産における「コスト」の優位性
ステンレスは、鉄に比べて材料単価が3倍以上と高価であり、また切削加工においても難削材です。全切削で製造すると、製品にならなかった大量の切り屑と、長い加工時間の両方がコストを押し上げます。一方、冷間鍛造は材料ロスが極めて少なく、高速で成形できるため、量産時には、鍛造後の二次加工(穴あけ等)のコストを含めても、全切削よりトータルコストを抑えることが可能です。

ステンレスの冷間鍛造のことなら当社にお任せください

私たちは、この困難なステンレス冷間鍛造を成功させるため、材料の深い知見と加工技術を融合させています。例えば、マフラー周りで使用されるナットには、耐熱性に優れるマルテンサイト系のSUS410やSUS430を。一方で、高い耐食性と鍛造性を両立させたい場合には、銅(Cu)を添加し加工硬化を抑制したSUS304CuやSUSXM7を選定するなど、用途に応じた最適な材料提案が可能です。さらに、加工硬化したステンレスの二次切削もまた、非常に難易度が高く、多くの企業が敬遠しがちな領域です。私たちは、この困難な鍛造と二次切削の両方を社内で一貫して手掛けることで、お客様に真の価値を提供します。ぜひ一度、ご相談ください。
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